身だしなみのひとつとしての、つげ櫛。

先日指宿に砂蒸し風呂を浴びに旅行したところ、ガイドブックにつげ櫛の工房の記述が。
15歳の頃京都旅行中、思い切って買った櫛をなくしてからずっと代わりのものをどうしようか悩んでいて、もし次に買うならきれいな彫りがあるものが欲しい!と思っていたので、気にいるものがあったら買ってもいいかな、という軽い気持ちで行ってみました。
つげ櫛は京都で買うものだと思っていたので、どんなもんだろうなあと思いつつ。

喜多製作所
http://www.kushi.jp/tokucho/index.php

今回は昔から憧れだった、彫りのある解櫛を選びました。

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最初は椿が良いかな、と思ってたんだけど、偶然見つけた大好きな芍薬のお花のもの!
程よく時間が経っていた商品だったみたいで、独特のこっくりとした飴色に育ち始めているものを手に入れられました。うれしい・・・

つげ櫛は定期的なお手入れが必要で、丁寧にほこりや汚れを取り除いたり、椿油にくぐらせたりしてあげないといけない。面倒だけどこうやって手をかけて育てた飴色のつげ櫛なんて憧れよね。買った櫛には取り扱いの説明書もちゃんとついていました。

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喜多製作所ではお手頃な価格設定の台湾など外国産のつげを使った商品もあるのですが、メインのラインナップについては薩摩つげという色艶が良く堅い木材から作られているそうです。
なんと、あとでよくよく調べてみたら京都の老舗のつげ櫛屋さん(幼き頃わたしが購入したお店もしかり)が使う素材も薩摩つげだった!!知らぬ間に本場で買えたラッキーに感謝ですよ。京の都で粛々と伝統を伝え続けた老舗で購入するストーリーもとっても素敵だけどね。

九州のこちらの地方ではその昔、女児が生まれると薩摩つげの苗木を植え、嫁入り道具にその木で作ったつげ櫛を持たせるという風習があったとか。
ただ、樹齢80年を超えたという実物の木を拝見したら結構細めで、これではなかなか嫁に行けないな、と冗談を飛ばしたくなる感じでしたwでもそこまでゆっくり育つ木だからこそ、緻密で良い木材になるんだろうな、と。

なんと、薩摩つげのようにみっちりとした上質な木肌の櫛は、汚れも落としやすいそうです。さっと拭くだけの手入れでも十分綺麗に保てるそう。(もちろんちゃんと定期メンテは必要だけど!)
輸入物や安価な素材の製品は、ブラシや楊枝などで細かな手入れをおこなわないと結構すぐ汚れが目立つようになってしまうんだよね。わたしが前に使ってたのは今思うと安い外国産だったのかもなあ。当時の自分としては清水の舞台モノの出費だったんだけど・・・

今は輸入物のつげで作られた安価なものが多く出回っているので、そちらをガンガン使うっていうのもありですが、やはり嫋やかな気持ちで慈しむ道具として身に付けるなら、本つげの一生ものを選びたいもの。
大昔から女性にとって髪は命であり、その邪気を払う道具として大事にされてきた謂れもあるということで、ぜひ妙齢になられた女性は身だしなみのひとつとしていかがでしょう。

ちょっと良くない意味が含まれるので、メンズから大事な女性に贈ったりするのは避けたほうがベストですw